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幻に終わった広浜鉄道今福線

明治後半から昭和にかけて、島根県浜田市と広島県を結ぶ鉄道ルートの計画があった事をご存知だろうか。
地元民の期待を背負って着工にこぎ着けた件の鉄道は、戦争(日中戦争、大東亜戦争)の影響で工事がほぼ完成していたにも関わらず2度に渡り凍結。
戦後、ルートを若干修正した上で工事が再開したものの、国鉄の赤字経営等が原因で未成線のまま計画中止になってしまった幻の鉄道ルート。それが広浜鉄道(新旧)今福線。
偶然その事を道の駅で知り、今も当時造られた橋脚の跡が残る廃線ルートを辿る旅に。
資料らしい資料もなく、道の駅で入手したパンフのようなものだけが頼りの行きあたりばったり旅。
どんな遺跡にお目にかかれるのか!?

先ずは、旅の拠点で看板を発見したのでルートをざっくり確認
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そして、旅はここから始まるJR下府駅(ここが始発駅になる予定だった)の、幻の3番線。
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現在稼働中の右側の線路ではなく、向かって左側、草が生い茂っている所が幻の3番線。
計画が頓挫して以降ただの空き地になったらしく、まったく手入れされてない状態。
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この山の向こうまで繋がる筈だった今福線が・・・・・(今は雑草だらけ)

下府駅から車で約10分。上空を走る山陰道を潜り抜け、川の中にある「有福第三トンネルと橋脚」へ。
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奥に見えてる穴が第三トンネル。
川の中に橋脚造って列車を渡らせようとしたのね。。。と解る。

そこから更に進むと次のビューポイント「橋脚群」
最初の計画の旧今福線では、最長になる筈だった橋梁。
此処はちょっと小高い丘を登って上から見ると、橋脚とトンネルの位置関係がよく解る仕様。
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夏場は薮蚊に注意。
登りきった先には今福線第一トンネルの後。
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写真で観ると明るいが、トンネルの奥は真っ暗。随分向こうに出口が見えてるけど、中が暗過ぎてとても先には進めない。

そして県道を挟んだ向こうの川の中に見える橋脚群が向こうのトンネルに向かって軽くアーチを描いてるのがよく解る。
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下に降りて見ると、こんな感じ。↓
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折角、こんな立派な橋脚造ったのに、未開線になるなんて勿体ない

橋脚群を観終わった後は、更に車で進んで『5連アーチ橋』『今福第三トンネル』へ。
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崩落の危険があるとかで、入り口が塞がれた今福第三トンネル(さっき川の中に立ってた橋脚の上に見えていたトンネルの反対側)
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なかなか見つけられなかった5連アーチ橋。
何故解らなかったかというと、現在は県道として利用されているから。。。
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この、橋の上が県道。折角建造したものが無駄にならずに済んで良かったね!で、いいんだよね?
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5連アーチ橋から車で数分の場所に次のポイント『4連アーチ橋』
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橋の向こうにあるトンネル。
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橋脚群の所にあったトンネルより短かそうだったけど、上にコウモリがいたのでトンネル内を歩くのは危険と判断した。
因みに、このトンネルを向こうに抜けると「今福第四トンネル」と「1連のアーチ橋」が見られたらしい。・・・電気点けてください145.png
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そして、その対岸のトンネルは通行禁止になっていた・・・
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先に進むと『今福第五トンネル』と『橋脚』
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第五トンネルは入り口が崩落しているので立ち入り禁止
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こっちから見るとそうでもなさそうだけど・・・
反対側に回ると
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納得。危険。

樹が茂ってて見えにくいけど、川の中に建つ橋脚
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↑の方向から、立入禁止のフェンスがあるトンネルに入り(逆もしかり)、入り口が崩落したトンネルを抜けて、こっちに続く↓
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こっちも解りにくいけど、川の中に1つ円柱の橋脚が建ってるのが見えるかな?


次のポイントまではちょっと離れてて、途中県道を抜けたりする。基本は川沿いを走る線路だった(工事費高そう)

此処からは若干道が狭くなるので、徒歩での見学をおすすめします、と書かれていた『おろち泣き橋』への道。
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何とも味わいのある風景・・・ここに鉄道が走っていたら・・・と妄想
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一般の畑の畔道を通って行くので、フェンスで囲われてて入り口があった。
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これが「おろち泣き橋」(4連アーチの橋をおろち(大蛇)の胴体に例えて、この名前がついたらしい。
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橋脚の下まで歩いて行けるので若干足場は悪いが進む
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ここは「今福泉が開通しない事が決まった日から、おろちが秘かに泣き続けている」と地元の人々が噂する場所。
橋脚アーチ下の、ある一ヶ所に立つと(上の写真参照)おろちが泣いてるかのような音が聞こえるのだ。

泣き橋から歩いて約20分(距離にして約1km・・・暑いとキツイ)で、次のポイント『第二下府川橋梁』へ。
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この場所で、今まで辿って来た旧今福泉(下府駅発)と、2度目の工事再開の際、改められた新今福泉(浜田駅発)の路線が交わる事に。
旧線が川沿いを通したせいで線路が蛇行していたのに対し、新線は浜田駅を出発して割と一直線。最初からこっちの方で線路を造っていれば良かったのでは?と思わせる便利さ。(結局は頓挫した訳だが)
車両は通行止めだが、徒歩なら行ける「鉄道の道」(約340m)
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気持ちのよい一直線道路・・・もとい、線路。
そして着き当たりは、これ。
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うぉ~い!!!!!
無情にも立入禁止の『下長屋トンネル』
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このフェンスの向こうに『第一下府川橋梁』と『4連アーチ橋』が見られる筈だったのに、、、


取り敢えず、これにて幻の広浜鉄道新旧今福泉を巡る旅は終了。
今来た道を歩いて戻って駐車場まで行く暑さと虚しさと云ったら・・・

でもなかなか楽しい旅だった。
鉄道開通が幻に終わった周辺の景色は現在こんな感じ
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実際開通したところで利用者数は少なかったかもしれないが、車窓から見える風景は素敵な田園風景だったに違いない。

実は新線自体は未だこの先も続くんだけど、今では立入禁止区間になっているため、ここで打ち止め。
特別な許可があれば見学可、となっている場所もあるらしいが・・・その許可は誰から???






by labi-usa2 | 2017-07-16 21:29 | 旅の日記